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【ONE PIECE115巻SBS】ペルの「世界に5種しか確認されぬ飛行能力」発言の真意〜20年越しの謎

『ONE PIECE』が連載開始から四半世紀を超え、最終章へと突入してなお、ファンの間で定期的に議論の的となってきた「ある有名なセリフ」が存在する。それは、物語序盤の傑作エピソードである「アラバスタ編」(単行本19巻・第169話)で登場した、王国護衛隊副官ペルの発言である。

ペル飛行能力 sbs

長年「設定の矛盾(後付け)ではないか?」「ペルの勘違いだったのか?」と様々な憶測を呼んできたこの謎について、最新の単行本SBS(115巻)にて、作者である尾田栄一郎氏の口からついに公式な回答が示された。本記事では、第169話の該当シーンを振り返りつつ、ペルの発言が持つ「作中世界(インユニバース)における意味」と、「作者(メタ)視点からの深い理由」について徹底的に解説する。

謎の始まり:第169話、ペルの誇り高き宣言

アラバスタ王国の最強の戦士と謳われるペルは、「トリトリの実 モデル“隼(ファルコン)”」の能力者である。バロックワークスの刺客であるミス・オールサンデー(ニコ・ロビン)と対峙した第169話において、ペルは自身の能力を解放し、巨大な隼の姿へと変身しながら、自信に満ちた表情で次のように宣言した。

「世界に5種しか確認されぬ『飛行能力』をご賞味あれ…」

連載当時の読者に対して、この発言は極めて強烈なインパクトを与えた。悪魔の実は「海の嫌われ者になる」という大きな代償を伴うが、その中でも「空を自由に飛べる能力」は世界でたった5種類しか存在しないという設定は、ペルというキャラクターの底知れぬ強さと、アラバスタ王国が持つ歴史の重みを際立たせるための素晴らしい演出として機能していた。

物語の進行と膨らみ続けた「読者の疑問」

しかし、麦わらの一味がグランドラインの前半の海を越え、過酷な「新世界」へと足を踏み入れるにつれて、読者の中である大きな疑問が膨らんでいった。それは「空を飛べるキャラクターは、明らかに5種類以上いるのではないか?」という指摘である。

実際、物語が進むにつれて多様な能力者が登場した。

  • 同系統の動物系(ゾオン):マルコ(不死鳥)、キング(プテラノドン)、カブやビアンなどのトンタッタ族の虫の能力者たち。
  • 超人系(パラミシア):シキ(フワフワの実)、ドフラミンゴ(イトイトの実での空中移動)、バッファロー(グルグルの実)。
  • 自然系(ロギア):スモーカー(モクモクの実)、エネル(ゴロゴロの実)、黄猿(ピカピカの実)。
  • 非能力者:サンジの「スカイウォーク」やCP9の「月歩(ゲッポウ)」などの体術。

これらを合わせると、優に十数名以上のキャラクターが空を飛んだり、滞空したりしている。そのため、インターネット上の考察界隈では「ペルの言っていた『5種』とは厳密には何を指していたのか?」「初期設定からのブレではないか?」という議論が絶えなかった。SBS 115巻に寄せられた「今となっては飛べる能力が多すぎて完全に混乱している」という読者の声は、全世界のファンが長年抱いていた率直な疑問を代弁したものであった。

作中世界における公式見解:「ペルの知識の限界とリアルな世界観」

この長年の疑問に対し、尾田氏はSBSにて明確な回答を示した。まず、作中の設定(インユニバース)としての公式な答えは、「あれは単に、ペルが耳にしていた情報の限界(ペルの知る限り)であった」というものである。

我々は現実世界でインターネットやSNSを使い、世界中の情報を瞬時に検索できる。しかし『ONE PIECE』の世界は、海王類が巣食い、異常気象が荒れ狂う広大な海によって島々が分断されている。情報伝達は「世界経済新聞」や「電伝虫」といった限定的な手段に依存しており、情報の非対称性が極めて高い世界である。

尾田氏が「あの世界で、世界中のあらゆる情報を完全に把握している人などどうやって存在するのか?(例えばトンタッタ族の何人が飛べるかを研究している人などいないように)」と笑い交じりに語っている通りである。グランドライン前半の、さらに一つの王国(アラバスタ)の戦士に過ぎないペルが、鎖国国家「ワノ国」の幻獣種や、未確認の種族の能力までを含めた世界のすべての悪魔の実を完全に網羅していることなど、物理的に不可能なのである。

つまり、あの第169話のセリフは「客観的な世界の真実(神の視点)」を語っていたのではなく、あくまで「ペルという一人の人間が認識していた世界における事実」に過ぎなかった。これは設定の矛盾ではなく、むしろ「情報網が限られた広大な世界」という『ONE PIECE』のリアルな世界観を裏付けるものだと言えるだろう。

作者としての真の意図:尾田栄一郎の「自戒」と葛藤

さらに興味深いのは、尾田氏があのセリフに込めていた「作者としての(メタ的な)裏の意味」を明かしたことである。実は第169話のペルのセリフは、他ならぬ尾田氏自身に向けた「自戒の言葉」であった。

「飛行能力をいくらでも思いつくことはできるが、使いすぎてはいけない!」

少年マンガのバトルや冒険の構成上、「空を飛べるキャラクター」は作者にとって非常に便利である。地形の障害を無視でき、ダイナミックな空中戦を描くことができ、移動の描写も簡単になる。しかし、それを安易に乱発してしまえば、作品の根幹の面白さが揺らいでしまう危険性があった。

能力のインフレを防ぎ、地に足の着いた冒険を描き続けるために、あえてペルに「5種しか確認されぬ」と言わせることで、作者自身に対して「飛行能力の安易な乱発を抑える」という強固な制限(ルール)の楔を打っていたのである。

世界観の死守:なぜ「飛行機」を作らないのか?「海賊マンガ」のロマン

では、なぜ尾田氏はそこまでして「空を飛ぶこと」に厳しい制限を設けようとしたのか。その最大の理由は、本作の根幹となるテーマが「海賊マンガ」だからである。

SBSの回答によれば、作中の科学技術のレベル(Dr.ベガパンクやフランキーの技術力など)を考えれば、「なぜ彼らは飛行機を作らないのか?」と思えるようなテクノロジーはすでに世界に存在している。しかし、物語の世界観は「飛行機という航空兵器・移動手段が一般化する一歩手前」で意図的に止められている。

海賊マンガの最大のロマンは、「海」と「帆船」にある。過酷な海流(レッドラインやカームベルトなど)を船で乗り越え、未知の島へ上陸することに冒険の醍醐味がある。もし世界中の空を人々が飛行機や能力で手軽に飛び回るような世界になってしまえば、「船で海を冒険する」という作品の存在意義が根底から覆ってしまう。空からラフテルへ直行できてしまえば、海賊たちのドラマは生まれないのである。

「海賊」という大テーマに忠実であり続けるために、誰もが空を飛べるような世界には絶対にしたくなかった。第169話のペルの発言の裏には、そんな「海と帆船のロマンを守り抜く」という尾田栄一郎というクリエイターの強い決意と美学が込められていたのである。

結び:これからも「飛行は稀で特別なもの」であり続ける

SBS 115巻の結びとして、尾田氏は「これからも、空を飛ぶことは稀(レア)で例外的なことであるというスタンスを維持していく!」と力強く宣言している。

20年以上の時を経て明かされた第169話のペルの発言の真意。それは、単なる「設定のブレの言い訳」などでは決してなかった。「情報伝達に限界があるリアルな世界観の構築」という作中での説得力と同時に、作者自身が「海賊マンガとしてのアイデンティティ」を守るために引いた絶対的な防衛線だったのである。

連載初期の一見何気ない強敵のセリフが、実は『ONE PIECE』という作品の根幹を支える壮大な世界観設計と、作者の漫画道そのものに直結していたことを示す、非常に奥深く感動的なエピソードだと言えるだろう。

飛行能力まとめ エルバフ編最新版

飛行能力まとめ
系統 キャラクター名 悪魔の実の名前 飛行・滞空の仕組み
動物系(ゾオン) ペル トリトリの実 モデル“隼(ファルコン)” 隼に変身し、自らの翼で飛行
マルコ トリトリの実 モデル“不死鳥(フェニックス)” 不死鳥の翼を展開して飛行
キング(アルベル) リュウリュウの実 モデル“プテラノドン” プテラノドンの翼で飛行
カイドウ ウオウオの実 モデル“青龍” 焔雲を生み出し、それを掴みながら飛行
カブ ムシムシの実 モデル“カブトムシ” カブトムシの羽で飛行
ビアン ムシムシの実 モデル“スズメバチ” スズメバチの羽で飛行
ストロンガー ウマウマの実 モデル“ペガサス” ペガサスの翼で飛行
モモの助 人造悪魔の実(ベガパンク製) カイドウと同様に焔雲を利用して飛行
ピエール ウマウマの実 自身が鳥であるため、能力でペガサスのような姿になり飛行
ロキ リュウリュウの実 モデル“ニーズホッグ” 巨大な竜(ニーズホッグ)の姿へと変化し、その翼で飛行
ネロナ・イム聖 アクマの実 異形の姿への変化、またはそれに付随する未知の特性による飛行・浮遊
超人系(パラミシア) シキ フワフワの実 自身や触れた非生物の重力をコントロールして浮遊・飛行
バッファロー グルグルの実 身体の一部をプロペラのように高速回転させて飛行
ドンキホーテ・ドフラミンゴ イトイトの実 雲に糸を掛け、振り子のように移動する「空道(そらみち)」
ニコ・ロビン ハナハナの実 無数の腕を背中に生やした「幻の翼」によって短時間の滑空
イッショウ(藤虎) ズシズシの実 重力を操って岩盤などを宙に浮かせ、その上に乗って移動
ベビー5 ブキブキの実 ミサイルなどの兵器に変形し、空中を飛来
自然系(ロギア) スモーカー モクモクの実 下半身を煙に変えて推進・浮遊
シーザー・クラウン ガスガスの実 身体をガス化させて宙に浮き、自在に移動
エネル ゴロゴロの実 雷に変化して空中を高速移動
サー・クロコダイル スナスナの実 砂嵐と同化して空中を舞うように移動
ボルサリーノ(黄猿) ピカピカの実 光となって空中に滞空・高速移動
その他・特殊 ラフィット 名称不明 背中に白い翼を出して飛行
カラス ススススの実 身体を無数の煤の烏(カラス)に変化させて空を飛ぶ

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