ルイ・アーノート『この地(エルバフ)に長居してはならない』
尾田先生体調不良による急遽の休載を経てようやく1132話が掲載。2024年も最後の1ヶ月。エルバフ編もここからギアが上がる。先人の探検家ルイ・アーノートより鳴らされた警鐘。何故『長居』してはならないのか?
広大なエルバフの地(陽界)が描かれ、麦わらの一味も集結。ラストシーンでは怪しげなシルエットも覗かせる中でナレーションでは探検家ルイ・アーノートのエルバフ談
ルイ・アーノート
巨大とは感動である
この絶景を一体誰が正しく言葉にできようか
ここはエルバフ島
ウォーランド王国
通俗的にはその総称でエルバフと呼ばれる巨人達の王国
草や木 蔓や花
虫・草・鳥・動物達に至るまで全てが巨大でただ息をのむ
冒険者達よ返却されぬ去し時を悔いる事なかれ
しかし全てが大らかなる神秘の土地エルバフについて私がここに一つだけ書き記すとするならば心の片隅にこの言葉を留めておいてほしい
この地に長居してはならない
長居というのが気になる。時間的な制約?
あくまで印象ではあるがエルバフに滞在したシャンクス達赤髪海賊団も用事を済ました後はそそくさと出航して行った様に見える。
『語らいすぎた』『長居した』と先を急ぐ様な発言。この時はバルトロメオの制裁や他の四皇の目まぐるしい動きを見て焦っているともとれたが明らかにカラクリを知っている様だ。ひとまずは立ち寄る程度であれば問題なさそう。
アーノートはこの真意を知っている様だ。長居した事によって冒険家である彼の身に何か支障をきたしたのではないだろうか?なんら大袈裟ではなく出られなくなるギミックが潜んでいるんだろうか?
この地に長く滞在するなってナレーションは麦わらの一味が長期滞在する前フリでもある。もともとエルバフ編を飛ばす構想もあったという事なので短編エピソードの様相もあったがもしかすると思ったよりも長編エピソードになるかもしれない。
ルイ・アーノート
ほとんどの方はその名前をおぼえていないだろう。ピンと来た人はかなりのコア層だ。
マニア界隈のクイズで出題される程の内容。とはいえ30代後半〜40代の現役でリトルガーデン編の連載に触れた方はあのドキドキが蘇るのではないか?
当時はリトルガーデン、巨人族といったワードも深掘りされていなかった事もあり、偉大なる海突入直後の本格的な冒険はとにかく謎めいていた。
そんな中で冒頭のナレーションで紹介された探検家アーノートの冒険記の一文
探検家ルイ・アーノート
あの住人達”にとって…まるでここは〝小さな庭〟の様だ。
─── 巨人島〝リトルガーデン〟─── この土地をそう呼ぶことにしよう。
(ルイ・アーノルドと言い間違いが多いが正しくはアーノート)
リトルガーデンの名付けの親でもある。
あまりにもデカ過ぎる巨人族の体躯。彼らからすればこの島も小さな庭に過ぎないというのが由来。
顔やビジュアルこそ判明していないものの誕生日は12月20日で偉大なる航路と公式設定も公開されている。
アーノートの冒険記には偉大なる航路入り口付近のリトルガーデンだけではなく、巨人族の故郷であり総本山であるエルバフはウォーランドにも触れられていた。
まるで早くエルバフを立ち去った方が得策といった物言いは警鐘を鳴らしている様に感じる。
著書タイトルはBrag Men ブラッグメンでうそつき達という意味合いが含まれている。この本については尾田先生よりSBSでも言及されている。コミックス42巻に掲載分の質問だ。
Q. 41巻のP170の5コマ目で、オルビアさん達が捨てている本!「Brag Men」という題名の本!あれ、13巻P142でナミが探してた本と一緒ですよね?
A. おおー。びっくりした。よくもまーそんなトコまで読み込んでくれてありがとう。スゴイね。そうですよ。「巨人島リトルガーデン」の情報がのっていたあの時の本ですね。「Brag Men」(うそつき達)と題されるこの本は、今日では割と世界中で読まれている、いわば「グランドライン冒険記」。その謎多き海に踏み込んだ航海者達の見た、信じられない様な島、人、出来事について記されいますが、世界中の人々の多くは、彼らの言葉を信じられず、バカにしてこのようなタイトルの本にまとめたのです。この本が現代に受け継がれてるのも、20年前、オハラの学者達が命にかえても本を守りぬいたという賜物だとすると、なんだか熱いものがこみ上げてきます。そしてその「Brag Men」と呼ばれる人々が本当にウソつきなのか?それはルフィ達の冒険を通して、みなさんの目で見極めて下さい。
リトルガーデンについて載っていた本とオハラの湖に投げ込まれた文献は一致。 |
内容は偉大なる航路に挑んだ者達の冒険記 |
あまりにも現実離れした内容に対して人々は(嘘つき)に因んだタイトルを付けて本としてまとめた |
オハラの学者達の執念で現代まで残されている |
内容が嘘かどうかはルフィ達の冒険を見ていけば判る |
リトルガーデン以降の冒険を見れば信じられない様な異常気象、化物達‥この本の内容、つまりは冒険記録は正しいものだと言える。同じ本が何冊もあるのかはわからないがオハラの学者達の執念で残されたと断定しても良いだろう。
↓質問にある115話にナミが探していた本Brag Men
リトルガーデン‥聞き覚えのあるワードに胸騒ぎを覚えたのはエピソード序盤。実際にとんでもない島だった。ナミ自身も本の内容を事実として捉えていた様にも映る。まとめられた当初は嘘、ホラ話とされていたが今は重要な記録という認識だろうか?
↓湖へ投げられた文献
蹂躙とも言える様な世界政府、海軍の包囲に死を悟った学者達は少しでも後世にと全知の樹の図書館にある大量の本を湖へと投下した。バスターコールが止み事件後に訪れた海軍達の前には湖を埋め尽くしてしまうほどの本達が広がっていた。この本の重要性を理解していない海軍達はこれを放置した。
オハラ事件。バスターコールによって焼かれた後に湖に投げ込まれた大量の文献は現在エルバフへと運ばれた。
これを運んだのは巨人族達。世界の秘密を紐解く為の重要な資料だ。
ルイ・アーノートが(ジョイボーイ)なんてぶっ飛んだ説も出ていたがさすがに時系列が合わない気がする。なんでもかんでも都合のつく不老手術もあるがまた別物だろう。とはいえこの探検家にここまで注目が集まったのも事実。開幕とだけあって少し大袈裟に煽ってる感もあるがエルバフへの期待感は高まった。
長居してはならない
リトルガーデンのプロローグで描かれた探検家ルイ・アーノートの文言
彼の冒険記はオハラの学者達が紡ぎ、本好きのナミも読んでいる
あの時と同じ様にエルバフ編の序章となる1132話でアーノートからの警鐘が鳴らされた。ようやく麦わらの一味がエルバフの集落へと辿り着いた矢先の出来事だ。この不安を掻き立てるようなナレーションは読者としてもワクワクする。いよいよラフテルへの軌跡も見えて来た中でこういった王道の冒険ストーリーはこれが最後になるかもしれない。
冒険者達よ返却されぬ去し時を悔いる事なかれ
しかし全てが大らかなる神秘の土地エルバフについて私がここに一つだけ書き記すとするならば心の片隅にこの言葉を留めておいてほしい
この地に長居してはならない
おそらくは同じ冒険記Brag Men ブラッグメンの本からの抜粋だろう。うそつき達という直訳ではあるが実際にリトルガーデンでは彼の言葉通りの展開が待ち受けていた。今回も彼の言葉にヒントが隠されているかもしれない。
特に気になるのは『長居してはならない』
通例であれば記録(ログ)が溜めるまでその島に居座るのが偉大なる航路の冒険。最近だとあまり触れられなくなってきた要素ではあるがログを溜めるには最低でも立ち寄るではなく『滞在』と呼べる時間経過が必要である。アーノートの言葉はそれを許さぬ様な警告だ。
時間的な制限がある。長期滞在で身体に何らかの影響がある。 |
時間の流れが違う。寿命に準えて3倍の早さで歳をとる。 |
物理的に出航出来なくなる。 |
アーノートの言葉は当然『人間族』に宛てられたものだ。この地に暮らしている巨人族達には当て嵌まらない、もしくは克服出来るのだろう。
巨人族と人間の違いは大きさ、力、寿命といったポイントが挙げられる。長く滞在して大きくなるというのはそこまで弊害にはならないだろうし、寿命が関わってくるのだろうか?
様々なパターンが考えられるがルフィ達はもれなくそのルートに乗っかってしまうだろう。トラブルに巻き込まれるのは通例で早期出航などイメージが沸かない。
短期エピソードかと思いきや下手すればエッグヘッド編よりも長くなるのかもしれない。
消される前のサターン聖。取り逃したルフィ、ドリー・ブロギー達をエルバフまで追いかけようとする海軍中将を制した。『エルバフはやめておけ』
単純に中将達の戦闘力で相手をするには役不足なだけかと思っていたがエルバフの地特有の危険性を示唆していたのかもしれない
前回の振り返り
エルバフ編 | 現在6話消化中 |
1126話 | 落とし前 |
1127話 | 謎の国の冒険 |
1128話 | RPG |
1129話 | 生き人形 |
1130話 | 呪いの王子 |
1131話 | 冥界のロキ |
前回の1131話、もしくは1132話がコミックスの区切りとなる予定。物語の序章としてはかなり好評ではないだろうか?
1131話 冥界のロキ |
ロキは海楼石の鎖で宝樹アダムへと拘束されていた。その期間は約6年 |
ルフィへと交渉。解放する代わりに好きな海賊団を壊滅する |
ロキと周囲の海賊から『赤髪のシャンクス』の名前が出て来る。当然ルフィは興味を示す |
新巨兵海賊団の船長ハイルディン、船大工スタンセンが登場 |
ロビンがサウロに気づいてもらうべくヘアスタイルをチェンジ |
サウロが倒れたとの訃報が入る |
前回
1132話 エルバフの冒険 |
グレート・エイリーク号(ロビンやドリー・ブロギー達)がエルバフへ到着 |
シャンクス達と共に酒場にいた少年『コロン』が登場 |
ロードがナミ達に仕留められる |
エルバフの三層構造が明らかになる |
エルバフの居住区(村)へルフィ達が到着 |
ルイ・アーノートの言葉と共に怪しげなシルエット |
タイトルエルバフの冒険
エルバフへ帰還
逸れたルフィ達の捜索で到着が遅れたこちらのチーム
ロビン、フランキー、ブルック、ジンベエ
ベガパンク(正)、くま、ボニー
ドリー・ブロギー(巨兵海賊団)
グレート・エイリーク号も紆余曲折ありようやく故郷へと帰還した。びっくりするほどボニーが一味に馴染んでおりキャロットの時以上に感じる。下手したら最後まで同行扱いになるんではないか?
これで麦わらの一味は全員エルバフの地へと到達した。
ドリー、ブロギー、オイモ、カーシー達も帰還して役者が揃った形。
そして麦わらの一味はエルバフの村で集結。少しタイムラグがあったがエッグヘッド島の戦いを終えた後の宴途中で逸れて以来となるが改めてここから冒険がスタートとなる。
1132話ではそれを象徴するように『エルバフの冒険』と命名された。最終章も大詰め。以降は更にスクランブルになりそう。定番の冒険ストーリーは今回のエルバフ編が最後になるかもしれない。
ウソップ
みんな!!おれはな!!いつか絶対に!!エルバフへ!!
戦士の村へ行くぞ!!
ルフィ
よしウソップ!!
必ず行こう!!
リトルガーデンのエンディングシーンは今からおよそ24年前に描かれた。この頃はワンピース作品のスケールや全体像が見えてはいなかったが24年かけて達成する悲願は改めて驚かされる。これこそ少年誌。
あの頃誓った約束、夢が一つ叶った。
感無量のルフィに涙ぐむウソップ
麦わらの一味の中でも特に2人にとってはエルバフの冒険は重要な意味を持つ。
ウソップに関してはそろそろ大きな成長イベントが欲しい。ホールケーキアイランド編は不参加、ワノ国編では途中から完全に空気扱い。 エッグヘッド編では何もしていないに等しい。
それだけにFILM RED、ドレスローザの躍進は大きく感じた。エルバフではウソップの最高到達点に近づくかもしれない。
キャラの覚醒含めてエルバフ編ではウソップというキャラクターの物語に1つの区切りがつく章になるんではないか?
続ルフィとロキ
ロキの放つ存在感、覇気に導かれる様に冥界へとやってきたルフィ
シャンクスについて教えて貰う為にロキの口車に乗せられる形となった
おれと会った事も約束も他言無用だぜ?
ルフィ
一旦ルフィは冥界を脱出。前話で登場していたゲルズ、ゴールドバーグに出くわすがロキの指示通りに冥界での出来事は誤魔化した。
ロビンのイメージチェンジ
新たにイメージチェンジというよりは原点回帰といった形か?
新世界編(2年後以降)の黒髪オールバック、ウェーブからミディアムカット、ボブカットに近いスタイルへと戻した。
一部ファンを除いては実際にロビンのヘアスタイルの評判は良くない。ナミのロングヘアこそハマっていたがロビンのそれは年齢以上の風格を感じてしまう。
それだけに今回のチェンジは歓喜する読者も多いのではないか?エルバフ編はおろか最終章はこのままこの髪型が定着しそうだ。
休載前にはこれまた好評の眼鏡スタイルが描かれていたが、それ以上のサプライズとなった。
エッグヘッド編では序盤の正シャカとの絡みこそ見どころではあったが、途中からは負傷もあってあまり見せ場が無かったロビン。
ブラックマリアに競り勝ったワノ国と比べると不完全燃焼と言えるだろう。
そんな中でエルバフ編はルフィやウソップにも劣らないほどのスポットが当たりそうな雰囲気。
サウロ生存をエッグヘッド編で知ってからは心待ちにしていた事だろう。いや‥オハラ事件直後からサウロの生存を信じ続けていたのかもしれない。
冥界
エルバフを見ると宝樹アダムに寄り添う様に国が成り立っている。
島としては平坦続きではなくアダムの形に合わせて何層かに別れている。
建物が見える真ん中の層が居住区だろう。
そしてロキが拘束されている吹雪地帯は下層であり『冥界』と呼ばれている様だ。
ここはエルバフの下層で冥界と呼ばれ誰も近づかない場所なんだ
罪人と裁定された者がここに落とされる
この大地そのものが監獄で処刑場
そこらの雪を掘ったらよ
巨人や人間の骨がわんさと出て来るぜ
すでに巨人族の元留置所と呼ばれる場所にも迷い込んでいたルフィ達。判決がくだった罪人がこの冥界に落とされる様だ。