3.ワンピース『ONE PIECE』

【ワンピース考察1187話】伝説を拒むルフィと王に目覚めたサンジ『元凶』に隠された対比構造

ルフィとイムの頂上決戦が幕を開ける中、まさかの男にスポットが当たる。かつてロジャーの左腕・ギャバンが見抜いた同じ左腕サンジの「覇王色の資質」。彼が真の王として覚醒する時がついに来たのだ。

場面:扉絵 キャラ:ヴィンスモーク家(アヒル)
展開:ジェルマ66の家族構成をアヒルの群れに見立てた象徴的なイラスト。サンジを暗示する黒いアヒルに父親や兄弟の特徴を持つアヒルが迫る中、レイジュの特徴を持つアヒルが身を挺して保護するように立ち塞がる様子が描かれている。
場面:氷の牢獄と軍子(シュリ)の封印 キャラ:ロキ、軍子(シュリ)、麦わらの一味
展開:戦場に巨大な立方体の氷塊が落下。これはロキの能力によるものであり、異常な硬度を持つその氷の中には軍子(シュリ)が凍らされ閉じ込められていた。麦わらの一味の攻撃も通用しない氷の牢獄であったが、ロキ自身が胸に深い傷を負って吐血し倒れ込んだことで、氷塊が徐々に溶け始める異変が発生する。
場面:絶対的処刑「怨魔剣」 キャラ:ネロナ・イム聖、ロキ
展開:負傷したロキに対し、イムの容赦ない処刑プロセスが発動する。イムはロキの胸元(古傷のある箇所)に意思を持つ「喋る黒炎」を付着させて的を形成。「怨魔剣(スティグマ)」と呼ばれる巨大なオーラの剣を射出し、的となったロキの急所を正確に貫いて処刑を執行する。
場面:漆黒の巨大な追撃 キャラ:ネロナ・イム聖、ルフィ
展開:ロキ処刑の爆発直後、イムが小さな鐘を鳴らして合図を送る。独特の擬音と共に空中に巨大な錐(槍)状の漆黒のエネルギー体が出現し、ギア5状態のルフィへ向けて一直線に射出される。ルフィは異常な身体能力で間一髪これを回避する。
場面:西の村の攻防 キャラ:ゾロ、ソマーズ
展開:西の村周辺で、ゴーグル姿のゾロと薔薇の装飾をつけた敵幹部ソマーズが対峙。ソマーズはかつての仲間(老剣士)を始末したことを示唆し、地面から無数の巨大な棘を隆起させる広範囲攻撃を放つ。ゾロは冷静に回避し、サンジも村へ向かっている事実を告げて敵の計画崩壊を宣告する。
場面:雨の神の蹂躙と戦況分析 キャラ:サンジ、雨の神、村の母子
展開:村の中心部で「雨の神」と呼ばれるベールを被った巨大な女性型の怪物が子供たちを無差別に誘拐。サンジは高所から救出の困難さを論理的に分析するが、母親たちの悲痛な涙を見過ごせず、自身の騎士道精神に従って乱戦への介入を決意する。
場面:空中での死闘 キャラ:サンジ、キリンガム
展開:乱入したサンジが、ガスマスクと三叉槍を持つ四足歩行の敵幹部キリンガムと空中戦を展開。キリンガムはサンジの物理的な耐久力を認めつつも、「頑丈さ」と「真の不死身」は別物であると指摘し、限界を突く猛烈な連続攻撃を仕掛ける。
場面:覇王色の覚醒と過去の導き キャラ:サンジ、キリンガム、スコッパー・ギャバン
展開:サンジとキリンガムの激突時、周囲に覇王色の覇気を示す「黒い稲妻」が放たれる。キリンガムはサンジに「王の資質」があることに驚愕する。同時に過去の回想が挿入され、元ロジャー海賊団のスコッパー・ギャバンが、ルフィを真の海賊王にするためにはサンジ自身も「王」の器を自覚し開花させる必要があると説いていた事実が明かされる。
場面:頂上決戦の開戦 キャラ:ルフィ、ネロナ・イム聖
展開:ギア5のルフィと、巨大な異形の姿となったイムが対峙。イムはルフィを伝説の存在「ジョイボーイ」と呼ぶが、ルフィは過去の因縁や他人の称号で呼ばれることを激しく拒絶する。自らはあくまで「ルフィ」であり海賊王になる男だと強烈に主張し、両者の絶対的な信念が衝突して最終決戦の火蓋が切られる。
場面:連載情報 キャラ:-
展開:本エピソードの最後にて、次週の休載はなく物語がそのまま継続して描かれることが告知されている。

第1187話『元凶』は、エルバフ編における最大級の転換点であり、最終章の核心へと迫る極めて密度の濃いエピソードである。本稿では、作中で展開された各戦局の描写、背景に流れるキャラクターの心理、そして世界観の根底に関わる重要なテーマについて、直接的な台詞の引用を極力避けつつ、情景や感情の機微に至るまで徹底的に詳解していく。

扉絵の暗示:決別と守護の象徴

本編に先立つ扉絵では、ヴィンスモーク家の複雑な血の繋がりと情愛の偏りが、アヒルの群れを用いた寓話的なイラストによって表現されている。

水面を泳ぐアヒルたちの群れの中で、一際目立つ黒い体毛(あるいは羽毛)を持った一羽のアヒルがサンジを暗示していることは想像に難くない。その黒いアヒルに対して、父親であるジャッジや、感情を欠落させた兄弟たちを模した特徴的なアヒルたちが、何かを強要するように、あるいは危害を加えるかのように背後から冷酷に迫り包囲を狭めている。しかし、その差し迫った脅威と黒いアヒルの間に、レイジュの特徴を受け継いだ一羽のアヒルが両手を広げるような体勢で立ち塞がっている。

この一枚の絵は、幼少期からサンジがジェルマ王国で受けてきた理不尽な迫害の歴史と、その中で唯一の理解者であった姉レイジュの自己犠牲的な守護を端的に表している。最終章という物語の佳境においてこの構図が描かれたことは、サンジが過去の血呪から完全に精神的独立を果たしたことの証明であると同時に、後に本編で描かれる「王の器の覚醒」に向けた、彼の優しきルーツの再確認としての機能を果たしている。

巨人の王の落日と氷塊の檻

物語は、戦場の中央に突如として巨大な氷の立方体が落下してくる絶望的な光景から幕を開ける。

この途方もない質量を持った氷塊は、他でもないロキ自身の能力によって生成されたものである。異常なほどの硬度を誇るその内部には、軍子(シュリ)が完全に凍結された状態で封じ込められていた。麦わらの一味の面々がどれほど強力な物理攻撃や属性攻撃を叩き込もうとも、氷の表面には傷一つ付かず、強固なダイヤモンドの壁に阻まれているかのような絶対的な無力感が戦場を支配する。一味のメンバーたちは荒い息を吐きながら、救出の糸口さえ掴めない状況に焦燥感を募らせていく。

しかし、その絶対不可侵の氷の牢獄に突如として異変が生じる。堅牢であったはずの氷塊の表面から白煙が上がり、徐々にその形状を崩しながら融解を始めたのだ。その原因は、他者からの攻撃ではなく、氷を生み出した術者であるロキ自身の生命力の著しい低下にあった。

視線を移すと、そこにはかつての威容を失い、大地に無様に倒れ伏す巨大なロキの姿があった。彼の胸部には過去の古傷をさらに抉るような深い裂傷が刻まれており、口からは大量の鮮血が吐き出されている。エルバフにおいて規格外の強さを誇り、神に等しい力を持っていたはずの巨人の王が、今まさに自らの力の維持すら困難なほどの致命的な衰弱状態に陥っているという事実が、この戦場に出現した敵の底知れぬ恐ろしさを雄弁に物語っていた。

絶対神の断罪:『怨魔剣』の執行と無慈悲なる追撃

満身創痍で大地に這いつくばるロキに対し、ネロナ・イム聖による凄惨な処刑プロセスが無機質に進行していく。

イムは一切の感情を交えることなく、指先で小さな金属製の鐘を鳴らす。その澄んだ高い音色が戦場に響き渡ると同時に、ロキの胸の傷口付近に、禍々しい漆黒の炎が突如として発生する。この黒炎は単なる燃焼現象ではなく、まるで自立した邪悪な意志を持っているかのように蠢き、ロキの巨大な肉体に逃れられない「死の的」を形成していく。ロキ自身も、自らの身体に直接発生し増殖していく異常な黒炎に対し、かつて見せたことのないほどの激しい動揺と恐怖の表情を浮かべている。

次の瞬間、イムの意志に応えるように、遥か上空から途方もないスケールの漆黒のエネルギー体が顕現する。『怨魔剣(スティグマ)』と名付けられたその巨大なオーラの刃は、ロキの胸に付着した黒炎の的を寸分の狂いもなく狙い澄まし、巨人の分厚い肉体を容易く貫通する。大地を揺るがす轟音と共に処刑は完了し、ロキの象徴とも言える巨大なハンマーは力なく手からすり抜け、彼が完全に制圧されたことが確定する。

しかし、イムの暴力はそれだけでは終わらない。ロキを処刑した直後、再び鐘の音が鳴り響くと、空中の空間そのものを歪めるような独特の擬音と共に、今度は巨大な錐状(ドリル状)に回転する漆黒の質量兵器が出現する。それは、上空で待機していたギア5状態のルフィの命を刈り取るべく、一直線に射出される。規格外の破壊力を持つその一撃を、ルフィは動物的な直感とギア5特有の異常な身体柔軟性を駆使して間一髪で回避するが、その余波だけで背後の巨大な樹木群が消し飛ぶほどの惨状が広がり、世界の王が持つ「一切の反抗を許さない絶対的な武力」がまざまざと見せつけられる。

西の村の攻防:剣士の確信と心理戦

場面は転換し、雲の海に接する西の村周辺の戦域が描かれる。

そこでは、額にゴーグルを装着して臨戦態勢に入ったゾロと、黒い軍服に薔薇の装飾をあしらった気品と残忍さを併せ持つ敵幹部ソマーズが対峙していた。ソマーズは、かつてこの地で剣を交えたであろう老剣士たちの命をすでに奪ったことを残酷に示唆し、その事実をもってゾロの精神を揺さぶろうと試みる。

言葉による挑発と同時に、ソマーズは大地そのものを武器に変える広範囲攻撃を発動する。地面から黒く鋭い巨大な棘が無数に隆起し、ゾロの足元から串刺しにしようと急襲を掛ける。しかし、数々の死線を潜り抜けてきたゾロの冷静さは微塵も揺るがない。彼は最小限の動きで巨大な棘の連撃を軽々と躱し、空中に逃れながら相手を見据える。

ゾロの口元には不敵な笑みが浮かんでいた。彼は目の前の敵の攻撃の威力を正確に見極めた上で、現在の麦わらの一味の力量が相手の想定を遥かに凌駕していることを告げる。さらに、西の村の中心部へは一味の「頼れる仲間」がすでに向かっているという事実を突きつける。それは単なる状況報告ではなく、ソマーズたち敵勢力が企てていた村の壊滅計画が、あの男の到着によって完全に瓦解したことを意味する、ゾロからの冷酷な敗北宣告であった。

慈愛と騎士道が導く戦場への介入

ゾロが全幅の信頼を寄せるその男、サンジが到着した西の村の中心部では、想像を絶する凄惨な光景が広がっていた。

巨大なベールで顔を隠した、不気味な女性型の巨大怪物「雨の神」が村を蹂躙していた。その巨躯は家屋を容易く踏み潰し、巨大な腕で村の子供たちを次々と鷲掴みにして誘拐していく。周囲には激しい雨が降り注ぎ、我が子を奪われた母親たちの絶望的な悲鳴と号泣が響き渡る、まさに地獄絵図であった。

高所に身を潜めながら状況を俯瞰するサンジの脳内では、極めて冷徹で論理的な状況分析が高速で行われていた。敵の目的が子供の拉致であること、巨人の戦士たちが介入すれば被害がさらに拡大する危険性があること、そして何より、暴れ回る怪物が「女性」であるという事実。自身の行動理念である「女性は蹴らない」という絶対の掟に従えば、この怪物に対して物理的な打撃を与えることはできず、救出作戦は極めて困難を極めるという結論が導き出される。

しかし、サンジの視界に、涙を流して崩れ落ちる母親たちの姿が映り込んだ瞬間、彼の中の緻密な計算はすべて吹き飛んだ。女性の涙を見過ごすことは、彼自身の存在意義を否定することに他ならない。圧倒的な戦力差や、自身の信条がもたらす致命的な制約を承知の上で、サンジは論理ではなく魂の叫びに突き動かされるように、空気を蹴って雨の降る戦場のど真ん中へと身を投じていく。

空中の死闘と託された『王』の資質

乱入したサンジを待ち受けていたのは「雨の神」だけではない。ガスマスクで顔を覆い、鋭い三叉槍を構えた四足歩行の半獣型の敵幹部、キリンガムがサンジの行く手を阻む。

ここから、重力を無視した凄まじい空中戦が展開される。キリンガムの槍撃は空気を切り裂き、サンジは悪魔風脚(ディアブルジャンブ)の炎を纏った蹴りでそれを迎撃する。激しい金属音と打撃音が交錯する中、キリンガムはサンジが受けるべき致命傷を平然と耐え凌ぐ物理的な頑丈さに驚嘆の声を上げる。しかし、敵幹部はその特異な外骨格の防御力を認めつつも、単なる「頑丈さ」と、いかなるダメージも無効化する「真の不死身」は根本的に異なるものであると冷酷に指摘し、サンジの耐久力の限界を暴くべく、さらに苛烈な連続攻撃を叩き込む。

その極限の攻防が臨界点に達した瞬間、サンジの身体から周囲の空間を圧迫するような「黒い稲妻」が弾け飛ぶ。それは数多の強者たちが覇権を争う新世界において、選ばれた者のみが発現させることができる「覇王色の覇気」の確かな顕現であった。強力な衝撃波を伴うその一撃に、キリンガムの表情は驚愕に染まる。

この黒き稲妻の閃光と共に、サンジの脳裏に過去の重要な記憶がフラッシュバックする。それはかつて、海賊王ゴール・D・ロジャーの右腕として海を渡った伝説の男、スコッパー・ギャバンから授けられた深遠なる教えであった。

回想の中のギャバンは、サンジが持つ他者を優先する過剰な自己犠牲の精神や、自己評価の低さを鋭く指摘していた。そして、ただ船長を補佐するだけの従者であってはならないと説く。麦わらのルフィという底知れぬ器を持つ男を真の「海賊王」という玉座へ押し上げるためには、彼を支える両翼の男たち自身もまた、他者の上に立つ「王」としての圧倒的な資質とエゴを自覚し、その力を完全に開花させなければならない。ギャバンのその言葉は、サンジの中に眠っていた王の血脈と誇りを呼び覚まし、単なるコックや騎士という枠を超えた、覇王としての新たな次元への到達を促したのである。

伝説の強要と個の証明、そして頂上決戦へ

サンジが己の王の器を覚醒させたその頃、上空の戦域では、世界の歴史の根幹を揺るがす二つの巨大な意志が正面から衝突しようとしていた。

白き神の姿を体現するギア5状態のルフィの前には、世界の王ネロナ・イム聖が立ちはだかっていた。その姿はこれまでの人間的なシルエットとは異なり、漆黒の外套の下から不気味な角を突き出し、背後には神々しさと禍々しさが同居する光輪を背負った、巨大な異形の怪物そのものであった。

イムは、眼前のルフィから放たれる自由で規格外のエネルギーを感じ取り、彼を800年前の空白の100年に存在した伝説の存在「ジョイボーイ」の名で呼ぶ。それは、世界の理を統べるイムにとって、ルフィという存在を歴史上の因縁の枠組みの中に閉じ込め、自らがかつて葬り去った敵の幻影として処理しようとする、傲慢なレッテル貼りであった。

しかし、ルフィはその神の押し付けを全身全霊で拒絶する。彼にとって、過去の偉人が残した称号や、他人が勝手に期待する救世主としての役割など、一切の価値を持たない。ルフィは自らの胸を強く叩き、己は過去の誰かの生まれ変わりでも、伝説の器でもなく、今この時代を生きる「ルフィ」という一個の海賊であると激しく咆哮する。

他者から与えられた宿命の糸を力ずくで引きちぎり、ただ己の思い描く「海賊王」という最も自由な境地へ至るという絶対的な信念。そのルフィの譲れない自己証明の叫びが天を震わせた瞬間、世界の支配者と自由の象徴による、一切の妥協を許さない最終決戦の火蓋が切って落とされたのである。

エルバフの空に、時代が真に覆る足音が響き始めていた。

前回の振り返りとエルバフの歴史

場面・展開 詳細な描写・事実関係
1. 崩壊するエスペリア王国の城内と、ルーヴェン王の死 激しく炎上し崩壊しつつあるエスペリア王国の城内。床には血を流してうつ伏せに倒れているルーヴェン王の姿があり、その傍らにはブルックが跪いている。ブルックは血を流す王の傍らで、一刻も早く医者を呼ぶよう周囲に叫び、王に生き延びるよう必死に呼びかけている。

王の奥には、黒転支配を受け軍服のような衣装に身を包んだシュリ姫が剣を持って立っている。さらにその後ろには、燃え盛る炎の横でピアノの鍵盤に手をかけながら座る、巨大な「黒い影」のような不気味な人物の姿が描かれている。

ブルックは、幼い頃から世話をしてきたシュリ姫が自ら王に危害を加えるはずがないと信じ、背後の影の人物に対して王女に何をしたのかと怒りを露わにする。しかし、悪魔の姿となったシュリ姫は冷淡な態度で、王がすでに息絶えていることをブルックに告げる。

2. シュリ姫の口から語られる「真実」 倒れている王を冷淡に呼ぶシュリの態度に、ブルックは驚きを隠せない。シュリは、ルーヴェン王が自分の実の父親ではないこと、そして自分が天竜人の血を引く存在であることを明かす。本来ならば天竜人として生きるはずだった十数年間を無駄にされたことへの強い怒りを露わにする彼女に対し、ブルックは彼女が間違いなく王の娘であると訴えかけるが、彼女の心には届かない。

そして、世界政府による攻撃の真の理由が語られる。世界政府が多数の奴隷を要求してきたというのは王がついた嘘であり、実際は王がシュリ自身を政府に引き渡すことを拒んだために戦争が起きたのだと彼女は説明する。

シュリは、敗戦による国の無法地帯化を防ぐためには王の死によって戦争を終わらせるしかなかったと述べ、育ての親である王を自らの手で殺害した理由を冷徹に語る。

3. 神の騎士団「マンマイヤー・グロウ聖」の登場 城の外の描写がインサートされる。世界政府の巨大な軍艦が何隻もエスペリア王国の港を包囲し、国中の建物が砲撃によって破壊され、黒煙が上がっている。兵士たちは独立を守るために絶望的な抗戦を続けている。

場面は城内に戻り、先ほどの「黒い影」の人物がタバコを吸いながらその素顔と正体を明かす。男はゴーグル付きの帽子を被り、長い黒髪、特徴的な目玉(オッドアイ)を持っており、傍らに添えられたテキストボックスで彼が神の騎士団の天竜人であるマンマイヤー・グロウ聖であることが確定する。

マンマイヤー・グロウ聖はブルックの特徴的な髪型を見て、過去にキャンデルの部下の中に彼がいたことを思い出す。同時に、当時のブルックが身分差により自分に近づくことすら許されていなかった事実を指摘する。

続いてグロウ聖は、シュリが持つ非常に珍しい「双極の瞳(オッドアイ)」こそが、"御大"が彼女を特別に要求した理由であると説明する。グロウ聖自身はその瞳の真の力を覚醒させることができなかったものの、シュリならば覚醒させられる可能性があると考え、自ら辺境の国まで出向いたことが示唆される。この発言に対し、シュリは"御大"への謝罪に向かうことを促しつつ、実の父親であるはずのグロウ聖を呼び捨てにして彼の言葉を冷たく遮る描写が描かれている。

4. 決別の剣撃と「革命舞曲」 シュリが立ち去ろうとする中、ブルックは赤ん坊の頃から彼女のすべてを知っていると訴え、この状況が悪い夢であってほしいと涙ながらに悲痛な叫びを上げる。しかしシュリは、もうブルックの護衛は必要なく、聖地へ行くことができるなら強大な人々の庇護下に入りたいと述べ、彼の存在意義を完全に否定する。

涙を流しながら剣を構えたブルックは、命の恩人である王を守れなかった無念を滲ませ、今まで天使だと思っていたシュリが今は悪魔に見えると告げる。そして、自身の必殺技である「革命舞曲」の構えに入り、前傾姿勢をとる。

しかし、ブルックが技を放つよりも早く、悪魔の羽を生やしたシュリが高速で踏み込み、彼の頭部(アフロの中心)に自らの剣を深々と突き立てる。剣は正面から後頭部へと完全に貫通して血が飛び散り、シュリはブルックの技名の後半部分である「ボンナバン」を自ら口にすることで、彼の技を横取りするような形で一撃を完遂させる。

ブルックが崩れ落ちる中、背景には、奴隷も王も死ねば皆ただの骨になり、それで終わりだという内容の不吉な歌のフレーズが描かれている。この光景を最後に、シュリとマンマイヤー・グロウ聖の姿は描かれなくなり、回想の戦闘シーンは終了する。

5. ブルックの奇跡的な生存と、エスペリア王国の終焉 頭部全体に分厚い包帯を巻かれたブルックが、野戦病院のようなテントのベッドの上で目を覚ます。周囲にいたエスペリアの仲間たちは隊長の意識回復を喜び、頭を貫かれながらも生き延びた奇跡に驚嘆する。仲間の口から、剣の刃が主要な血管や脳幹に触れなかったため即死を免れたのだろうという医学的な見解が語られる。

目を覚ましたブルックは、自身の怪我よりも先に王の安否を尋ねる。しかし、仲間たちの口からは残酷な現実が報告される。戦争には敗北して王は亡くなり、多くの国民が難民となって国を捨てたこと、そしてシュリ姫が政府の船で連れ去られたことが伝えられる。

護衛団長として王も国も姫もすべてを失った事実を突きつけられたブルックは、ベッドの上で天を仰いで絶叫する。そのあまりのショックと悲しみによる激しい叫びで、頭部の包帯から再び大量の血が噴き出す痛々しい描写で、ブルックの過去編が締めくくられる。

6. 現代のエルバフ:「幻覚」への逃避と隠された真実 場面は現在へと戻り、ブルックがエルバフにて麦わらの一味にこの過去を語り終えた直後のシーンとなる。ブルックは、当時は悪魔の実の存在すら知らなかったと語り、恩人の死というトラウマと王女の豹変が信じられず、長年あれは自分の幻覚だったと思い込むことで現実逃避していた心理を告白する。

その話を聞いていたナミは、ふと疑問を持つ。ナミの脳裏には、過去のシュリがブルックに逃げるよう涙ながらに訴えている情景が思い浮かび、シュリ姫自身もまた、ただの被害者の一人に過ぎなかったのではないかという推測を口にする。

ナミの言葉にハッと気づきを得たブルックの顔が描かれる。冷酷な言葉で自分を突き放し、剣を突き立てたシュリの行動は、実はブルックをこれ以上天竜人の争いに巻き込まずに逃がすための行動だったのではないかという可能性に思い至ったのだ。

ブルックは涙を流しながら仲間たちに向かって深く頭を下げ、もう一度シュリ姫を信じ、彼女を救い出すために力を貸してほしいと懇願する。チョッパーたちはその願いを快く受け入れ、共闘の意思を見せる。

7. ルフィの復活と「800年前の敗北」の開示 一方、別の場所(エルバフの戦場)では、ルフィの動向が描かれる。ルフィは学校の食堂らしき場所で大量の食料を平らげて満腹になり、力がみなぎって完全復活を果たした様子が描かれる。

同時に、巨人族が、不気味な黒い影のような姿をした敵と対峙している戦場が描かれる。巨人族は、子供たちを標的とする世界政府側の卑劣な手段に対して激しい怒りを露わにしている。

しかし、対峙する敵の人物(黒い肌に白い髪、特徴的な目を持つ女性的な顔立ちのキャラクター)は余裕の笑みを浮かべ、なぜ自分たちが子供を狙うのか、その理由として800年前の出来事を引き合いに出す。かつて巨人族が子供たちを救うために大きな敗北を喫したという歴史を明かし、種族の性質は数百年では変わらないため、子供を人質にとれば巨人たちを思い通りに操れるのだと冷酷な論理を展開し、歴史は繰り返すのだと語る。

その身勝手な理屈に対し、復活したルフィが上空から乱入する。相手が巨人族の敵であることを確認したルフィは、その敵は自分の敵でもあると見なし、エルバフから出て行くよう叫びながら、巨大化させた覇気を纏う鉄拳を敵の顔面に真正面から叩き込む。強烈な衝撃波が周囲に広がる大ゴマの痛快な一撃と共に、第1186話は幕を閉じる。

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