3.ワンピース『ONE PIECE』

ワンピース考察 聖地の混乱『マリージョアが火の海』シャムロックの対処

ワンピース考察 聖地の混乱『マリージョアが火の海』シャムロックの対処

『ONE PIECE』の最終章において、かつてない激動の渦中にある世界情勢。その中でも最大の衝撃と言えるのが、難攻不落を誇った世界の中枢「聖地マリージョア」の崩壊危機である。長年、絶対不可侵の神の地とされてきたマリージョアだが、現在は革命軍の猛攻により「火の海」と化し、大混乱に陥っている。さらには、パンゲア城の奥深くに鎮座していたはずの「イム」が自らエルバフへ出向くという異常事態まで発生。本記事では、最新話の描写から読み取れるマリージョアの惨状と、海軍や神の騎士団など世界政府陣営の深刻な戦力不足、そして過去に起きた聖地襲撃事件の共通点から、崩壊へと向かう世界政府の現状を徹底考察する。

聖地マリージョアが火の海

イム

聖地は今‥火の海だ
確実に戦力を要するのだ

マリージョア 火の海

現在、ワンピースの世界情勢において最も衝撃的な展開を迎えているのが、世界の中枢である「聖地マリージョア」の陥落危機である。長年、難攻不落にして絶対不可侵の神の地とされてきたマリージョアだが、現在その内部は「火の海」と化しており、かつてない大混乱に陥っている。

この未曾有の事態において最も読者を驚かせたのは、パンゲア城の奥深く「花の部屋」から決して動くことのなかった世界の「王」であるイムが、自ら動いたことだろう。イムが軍子の体を借りてエルバフに現れた背景には、軍子が我に返り記憶を取り戻しかけたという直接的な要因だけでなく、マリージョアへの対応が急を要し、戦力が決定的に不足しているという切実な事情がある。

少し前に神の騎士団のリーダー格であるシャムロックがエルバフへ出戻りしたばかりだが、それでもなお聖地の防衛戦力は足りていないようだ。最高権力者自らが出陣せざるを得ないほど、政府は追い詰められているのだ。

計算外の戦力不足:疲弊する世界政府の各機関

本来ならば、世界政府には計算できる強力な戦力が多数存在しているはずである。天竜人をトップとした世界の縮図を守るため、あらゆる不測の事態を想定した防衛網が敷かれているのが当然である。それでも人員不足に陥っているのは、現在の事態が政府の想定を大きく上回っているからだ。

五老星
神の騎士団
CP0
海軍

各戦力の現状を整理してみよう。

五老星:エッグヘッド編において、彼らが単なる政治家ではなく、全員が怪物じみた強大な戦闘能力を秘めていることが明らかになった。サターン聖が失脚し新体制へと移行したが、彼らが出動すれば大抵の事態は収束できるはずである。しかし、彼らだけではカバーしきれないほど混乱が広範囲に及んでいると推測される。

神の騎士団:天竜人の武力の中枢を担う組織。人員の全容は不明だが、エルバフ参戦メンバー以外にも最低5人は待機していると考えられる。彼らは五芒星による移動術を駆使し、任務先から瞬時に帰還することも可能である。ここにシャムロックを足せばかなりの戦力になるはずだが、それでも足りないのだ。

CP0(イージスゼロ):天竜人直属の最高位諜報部員だが、現在その評価はガタ落ちである。ワノ国での大失態による戦力低下に加え、先のエッグヘッドではステューシーの裏切りが発生。さらに主力であるルッチとカクが重傷を負った。人員的にも極めて厳しく、天竜人からの信頼も完全に失墜しているため、大きな戦力としてはカウントしづらい状況である。

海軍:圧倒的な動員数を誇り、天竜人案件には海軍大将が動くため、最前線で敵と交戦する主力となる。しかし、海軍もまた度重なる事件で疲弊しきっている。荒れた世界会議の対応、エッグヘッドでの黄猿の精神的(メンタル)ダメージの蓄積など、満身創痍である。くまの襲撃時にはマリージョアに居合わせたサカズキも対応に追われたが、世界的な四皇の世代交代劇などもあり、対応すべき事件が多すぎる。

また、聖地マリージョアでの戦闘には特有の難しさがある。それは「居住区に住む天竜人たちの護衛義務」である。常に安全な温室で育ち、ワガママ放題の天竜人たちは、いざとなれば一般人よりも無力である。彼らを護衛し、安全な場所へ逃がしながら戦うのは至難の業である。加えて、海軍大将(アラマキやイッショウ)が革命軍の軍隊長とぶつかった際に見られたように、強力な能力で暴れすぎて聖地そのものを破壊してはいけないという「手加減の縛り」も防衛を困難にしている。

革命の炎:周到に準備された反逆のシナリオ

マリージョアが「火の海」と化している原因。聖地に火が放たれ、相当な範囲に甚大な被害を及ぼしている首謀者として真っ先に思い浮かぶのは、やはり『革命軍』の存在である。

世界政府を直接倒すことを目的とするこの危険組織は、世界各地で暗躍し、着々と爪を研いできた。どこか機を伺うように慎重だった総司令官ドラゴンだが、ここに来てついにその牙を剥き、作戦を一気に展開させている。

世界会議(レヴェリー)
奴隷となった同志バーソロミュー・くまを奪還する為にNo.2のサボ、軍隊長達が聖地マリージョアへ潜入。海軍大将との激突を経て見事にくまを取り返した。天竜人の居住区である"神々の地"にて世界貴族のシンボル『天駆ける竜の蹄"を破壊し宣戦布告した。パンゲア城ではサボがコブラ王暗殺に遭遇。五老星、イムの姿を見た。
8カ国革命
反乱の予兆がある12カ国に対して援助を行い王族を討った革命。内8カ国で成功したがルルシア王国は消滅した。
兵糧作戦
8カ国革命と組み合わせた聖地マリージョアへの兵糧攻撃。8カ国が天上金含む物資の上納を経ち、各地に散らばる革命軍も政府の運搬船を襲った。

本来であれば、聖地マリージョアへ乗り込むだけでも不可能に近い難題だが、革命軍は軍隊長たちを中心とした少数精鋭部隊で見事に潜入作戦を成功させた。特筆すべきは、物理的な破壊だけでなく「物資を断つ(兵糧作戦)」ことで、間接的かつ致命的に聖地を大混乱に陥れた点である。

この兵糧作戦の効果はてきめんであった。生まれてから死ぬまで、常に最高級で裕福な暮らしが当たり前となっている天竜人にとって、少しの不自由や我慢は地獄の苦しみと同義である。食べたいものが食べられないというだけで不満は限界点を超え、その怒りの矛先は革命軍だけでなく、彼らを守る海軍にまで向けられている。極度のストレスと食糧不足により、天竜人は確実に衰弱している。パニック状態の彼らをなだめ、守護するためだけに、相当な人員が割かれているはずである。

天竜人 竜の蹄 革命軍

「火を放つ」という行為は、読者視点からは比較的ヒーロー的な立ち位置にある革命軍のイメージからすると、やや残虐にも思えるかもしれない。しかし、世界会議の舞台でシンボルを破壊した時点で、明確な宣戦布告は済んでいる。革命軍からすれば、聖地マリージョアのインフラや食糧庫をどれだけ徹底的に破壊できるかが、この戦争の成功率に直結する。混乱をより広く、深く浸透させるために、あえて派手に破壊工作を行っているのだろう。

燃え盛る炎を消火するだけでも大仕事だが、それに加えて革命軍という強力な武力勢力を鎮圧するためには、世界政府は持てる戦力のほとんどをマリージョアに集結させなければならない。普段は絶対に動かないイムが、悲鳴の響く城から「聖地を空ける」と焦りを見せたのも、これなら十分に納得がいく。

難攻不落は嘘?聖地マリージョアへの度重なる襲撃の歴史

800年以上にわたり、世界の中枢として赤い土の大陸(レッドライン)の上に聳え立ってきた神の地『聖地マリージョア』。断崖絶壁のレッドラインを越えての上陸は極めて困難であり、正規ルートであるシャボンディ諸島方面やリヴァース・マウンテンからのルート以外では、侵入することすら不可能である。海面から見上げれば雲で上が見えないほどの圧巻の高さに位置している。

しかし、完全に陥落したことこそ無いものの、実はこの聖地では歴史上、何度か重大な襲撃事件が勃発している。

聖地マリージョアに激震が走った事件
200年前 伝説の鉄の巨人『エメト』による襲撃
15年前 フィッシャー・タイガーによる奴隷解放
現代 世界会議で革命軍による襲撃
現代 バーソロミュー・くまによる襲撃

これらの襲撃事件において最も面白く、かつ世界政府の脆さを露呈している共通点がある。それは、いずれの襲撃においても、世界政府は襲撃者をその場で捕縛できず、結果的に全員を取り逃がしているという事実である。

まずは200年前の事件である。

伝説の鉄の巨人

空白の100年に作られたとされる伝説の鉄の巨人「エメト」による襲撃である。この時、エメトは突如としてレッドラインを登り現れ、マリージョアで暴れ回った。この事件は政府の力で鎮圧したわけではなく、最終的には巨人の動力不足によって自然停止したため未遂に終わった。その後、政府はエメトを完全破壊できず、スクラップとしてエッグヘッドに保管(眠らせる)ことしかできなかった。

次に15年前の事件である。

フィッシャー・タイガー マリージョア

魚人フィッシャー・タイガーは、自身が奴隷としてマリージョアで飼われていた過去を持ち、一度は脱走した。しかし彼は自身が逃げ延びるだけでなく、再び赤い土の大陸を素手でよじ登って聖地に侵入。同じく捕らえられている奴隷たちを、種族の分け隔てなく全員解放するという偉業を成し遂げた。一部からは英雄と讃えられ、その姿はまさに「解放の戦士ニカ」にも似たムーブメントを引き起こした。

続いて、記憶に新しい現代の「世界会議(レヴェリー)」の舞台である。

革命軍の軍隊長たちと、参謀総長サボが潜入し、聖地で大暴れした。「組織的な計画的犯行」としての襲撃は、現状この事件が最大規模である。海軍大将との交戦を潜り抜け、食糧庫の破壊、シンボルの破壊、そしてくまの奪還と、のちの世界情勢に直接繋がるような深刻な打撃を政府に与えることに成功した。

そして時系列的に、つい最近発生した出来事である。

くま マリージョア

エッグヘッド事件にも関与した王下七武海の一人、バーソロミュー・くまによる単独襲撃である。彼はフィッシャー・タイガーと同じように素手でレッドラインをよじ登り、聖地に到達して暴れ回った。元帥サカズキ(赤犬)と直接交戦して顔面の一部を吹き飛ばされる重傷を負いながらも、自身のニキュニキュの実の能力を使用してマリージョアから脱出し、エッグヘッドへと向かった。おそらく彼はカマバッカ王国からエッグヘッドへ直接飛行しようとしたものの、レッドラインの壁にぶつかってしまうため、一度よじ登って越えざるを得なかったのだと推測される。

まとめ:崩壊の足音と次なる展開

このように、難攻不落と思われていた聖地マリージョアは、過去から現在に至るまで何度も「外部からの侵入と破壊」を許してきた。そして現在、革命軍による緻密な兵糧攻めと直接的な破壊工作によって、聖地はかつてない「火の海」となり、政府の各防衛機関は疲労困憊で完全に機能不全に陥っている。

世界政府の絶対的なトップであるイムが、悲鳴が響き渡るパンゲア城を後にしてまでエルバフへ向かわざるを得なかった背景には、これらすべてが複合的に絡み合った絶望的な戦力不足と、革命軍によってもたらされた未曾有の大混乱があるのだ。800年続いた世界政府の絶対的な支配体制は、今まさに音を立てて崩れ去ろうとしている。

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